天宵




夢を見るように
晴れた空を見上げて
想う人に
思いを寄せるわけでもなく

じりじりと
日差しを照り返すアスファルトに
それでも立っている自分に
いくらか満足をしながら

風が吹けば
笑うこともできるから
雨が降れば
泣きやむこともできるから
空が 晴れたなら
終わらせることもできるだろう

梅雨があける
晴れた空に霞むように
雨は この暖かい雨は
夏の夕立

笑って歩いて
ため息を吐いて
目を閉じ また
少し笑って

ミュールのつま先
乾いたアスファルト
微かに 露が残ったように
煙るような 蜃気楼

深呼吸をすれば
頭の中は空になる
胸に手を当てれば
我が侭を止められる
そうやって 今日もまた
そうして 今年もまた

熱気に蒸発するように
雨の季節が 滲んで終わる



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