春風



そうして ぼくらは
ほんの少しだけ
暖かくなった風に乗って
高く たかく
空へ かえってゆく

あの丘も 駆け抜けて
あの木々も 登り抜け
あの雲も すり抜けて

冬の風もしらない
高い たかい 空へ

つないだこの手だけ
離れなかったら
また ここに
戻ってこられるね

つないだ手すら
放してしまったら
そのときは きっと
ぼくらは ほんとうに
風になるのだろう

高く たかく
空へかえって
冬の風には
行けないところへ



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