彼岸花




彼の岸と 想う君
此の岸と 思う我が身に
届けよと 伸ばす腕
流れゆく 朱も鮮烈に
思い出す あの日の空は
何処まで 流れゆくのか

彼の岸と 我が心
此の岸と 思うばかりに
この足は 少しも上がらず
この腕は 虚空より進まず
夢馳せる 野の小唄は
何処にか 辿り着くのか

彼の岸へ 君を求めて
此の岸へ 我を置き去り
届かない この朱の腕も
流れ行く 風に力無くそよいで

君を想う 我が身なれば
ただ何処までも 鮮烈に朱く



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