恵み




土の臭いが
頭の中で蘇る

雨の 記憶



一雨ごとに 暖かくなるね

と その言葉に
この雨は まだ
暖かくはないのだと
思い出して

うっすらと
砂のまぶされたアスファルト
その印象ほどに
雨のにおいは
しないのだろう


これから
暖かさへと向かってゆく

春の風の後に
やっと許されるように
冷たい風を
ほんの少し和らげて…


一雨ごとに
木々は揺れ
一雨ごとに
花は散り
一雨ごとに
葉はふれあいながら


一雨ごとに
土の香を 思い出させて

暖かさへと
ときほぐすように
まだ 冷たい
風の中をおちて






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