さもありなん


それは ただ
この世界の一部でしかなかった

表面の剥がれた
うす茶色の壁も
色鮮やかな
木々の葉も

ただ
この世界の一部でしかなく
私は ふぅわりと
その中に浮いている

蒼く 濃紺の夜空も
明るく 純白の満月も

ひとつ ひとつの
様々な景色が
押し寄せるように
流れたとしても

それは ただ
この世界の一部一部の
小さなもの達の集まりでしかなく
私自身も また…

現実という
概念の束縛が
すっと 遠退いた



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