私は 活字を漁る
優しい言葉が染み込んだら優しくなれるかもしれない
私は 活字を漁る
希望の言葉が見つかれば幸福になれるかもしれない
私は 活字を漁る
そうして私は何もかもを詰め込んだ「からっぽ」になる
今朝、道の真ん中に、
橙色の柿が一つ、
ころんと落ちていた。
潰してしまうのが嫌で、
タイヤの間を通るように、
ハンドルを調節して進むと、
ころころと、転がる気配がした気がして、
バックミラーを見ると、
全身橙色の小さな子が
たかたかと、後ろに駆けて行った。
灰色の空が、茜色に染まる様子に似ていて、
今日は、夕方までには、晴れるだろうと思った。
そんなにも、辛くなってしまったら、
きっと、この胸が弾けてしまう。
そうしたら、ここにそっと閉まってある、
飲み込んだ想いが、飛び出すでしょう?
そんなことは、できないよ。
だって私は、口に出さないことを選んだのだから。
できないよ。私にはできない。
あぁ、だからどうか、このまま、
この胸に、鈍い重りだけを付けて、
そんなに、張り裂けるほどの、
辛い思いはさせないでおくれ。
…何もいらないとまでは、まだ言えないまま。