〜あかね雲、秋の夕日につないだその手…



夕焼けに滲む顔が、
薄い雲のように、
空に溶けて見えなくなる。


  けっきょく、ね。
  誰かを、誰でもいいから誰かを、
  眺めているのが好きなんだよ。


滲み出てくるような、
夕焼けのオレンジに
その人はよく似ていた。

照れたように笑って、
くるりと向きを変え、
本当に、陽の光りに滲み込むように、
消えるように去っていった。

秋の、一瞬の夕焼け。
いつもより、赤に近いオレンジの空に、
あの空にとけて、私を見守るとでもいうように。



薄い雲が、また一つ、
オレンジ色に染まって、見えなくなった。



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