握った手が、振り払われたとき、
僕がどんなにショックだったか、
君にわかるかい?
そうして、走り出した君が、
めざとくみつけた小さな花を摘んで、
僕に向かって笑ったときの安堵は?
ほら、夜が明ける。
君と朝日を見るのは、はじめてだね。
昨夜の星空はどうだった?
僕は君に夢中で、ちっとも見られなかったよ。
あぁ、笑わないでおくれ。
これから僕たちはずっと一緒なのだから。
さあ、またあの時のように笑って。
もう、朝日が昇ってしまうよ?
太陽が昇って、
この身が、灰になっても。
ずっと一緒だね。
君も、ここで少しずつ
土に還るのだから。
君の血をたっぷり含んだ僕の身体が、
埃のような灰ではなくて、
もっと、別の、ドロドロのものになって、
君の身体を、普通より早く、
土にできたらいいのにね。
ふたりで、ほんとうにいっしょに、
つちくれになれたら、いいのにね。