ペンを握って、
白紙を広げて、
机に向かった。
途端に、どうしていいかわからなくなった。
「…なんだっけ………」
我ながら間抜けだ。
「参ったなぁ…」
頬杖をついて、ペンの頭を顎に軽く当てながら、
手元のノートをパラパラめくる。
別に、困るようなことではないけれど。
別に、どうでもいいはずのことだけれど。
『えがきたいもの』が
形になりそうな気がしたのに…
めくってゆくノートのらくがきは、
なんの脈略もなく、広がる世界。
消しゴム一つでなくなって、
なかったことにできる夢…
取り返せると思っていた、
昨日の続きの明日。
描き直せると思っていた、
今日の前の昨日。
時間が経てば掠れてゆく、
昨日と過去の固まり。
白紙に向かって、線を引く。
ただ一本の線から、生み出せるもの。
ただ一本の線でも、生み出せるもの。
ただひとつ、来るはずの、
明日でしかない明日。