〜生まれてはじけた今年のかけら…





ボクの周り、ボクの部屋は、散らかっていた。
ばらばらに出てきた、ボクの言葉で埋め尽くされていた。
言葉の断片で、ボクは埋もれそうになっていた。
一つ一つの単語に、押しつぶされそうになっていた。


あぁ、あれは、あの子に言いそびれた言葉だ。
これは、あの人に言いたかった言葉だ。
それは、この心に残しておきたかった言葉だ。

ボクの中の、言葉を入れる場所は、もういぱいで、
生まれた言葉は、少しずつ外に出て行く。

誰かに渡せれば、それでいいのだけれど、
タイミングが合わないと、
とりあえず僕の手の届く所に…と思ってこうなる。

大事な言葉や、好きな言葉、必要な言葉ばかり。
でも、覚えておける量には限界があるから。
そのときの気持ちを思い出そうとするように、
ボクは言葉を眺めていた。


これは、楽しい時に思った言葉。
あれは、淋しい時に思った言葉。
それは、嬉しい時に思った言葉…

誰に向けた言葉か、
もう忘れてしまったものもあるし、
その言葉を出した時の、僕自身の気持ちも、
今ではもう、想像することしかできないけれど…



大切な、とっておきの言葉。
どれもこれも、残したかった言葉達…

この、言葉達が大切なのは、
ほんとうだし、今もそう思う。


「…よしっ。」


一念発起、年末大掃除。
ボクは、一つ一つの言葉を手にとって、
仕分けを始めた。


選り分けて、整理して、つなげて、編み上げて、
ボクの言葉のリボンにしよう。
ボク自身に掛ける、リボンにしよう。


今年一年を振り返りながら、
途切れ途切れの言葉達を、
一つずつつなげていく。



そうして最後に、
ボク自身が、できあがるんだ。





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