〜 創界戦記 〜

   『その世界』






世を支配せんとする神がいた。
神といえど、絶対的な存在なわけではなかった。
神の作れるものは限られていて、
神の消せるものも限られていた。


例えば、人。

それは、神自身が作り出したものでありながらも、
それ自身が、神の手を離れ生きてゆくようにできていた。

神は人の存在そのものを消すこともできず、
その本質を作り替えることもできず、
生み出すことも、もうできなかった。

また、人の感情についても、
それは同じことだった。



人々の間に争いを起こそうと、
神は、世界を作り替えた。

建物を造り替え、
ビルを砦とし、
家々を集め基地を作った。

大地を作り替え、
それぞれの土地に、
他の土地の利権が関わるようにした。

知識を生み出し、認識をすり替え、
世界の勢力と、情勢、戦況を、
人々の脳に焼き付けた。


人の存在を消すほどの力を持たなかった神は、
その能力の及ぶ、ありとあらゆることをし、
神は、人へ挑戦した。

しかしそれでも、
人々は、変わらず生きた。



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