〜埋もれるように、浮くように…



雪の降る街で、
なんにも変わらないまま。

埋もれて、消えてしまえそうな気がして、
いつまでも、いつまでも、空を見上げていた。

「昇って行くみたいだな…」

なんの仕切りもない空に。
ふらふらと、雪のつぶ。

差し上げた手に、
触れた、小さなものが、
指の先から、俺を持ち上げようとして、
持ち上がらなくて、
そのうちに、溶けて消えた。

どこまでも、変わらない空に、
ふらふらと、雪のつぶ。

雪の降る街で、
取り残されるように、
何一つ、変わらないまま。



「っくしゅっ
 ………………………………
 ………………まぁ、いいか。」

くしゃみ、一つ。

バカみたいに突っ立って、
呆けたように考え込んで、
出てきたものは、たったそれだけ。

そんな、ものなのかもしれないと、
なんとなく納得して、
冷たい風から逃げ出した。

訪れたはずの春は、
まだ、姿を見せない。



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