歪曲願望


なんだか、
つかれちゃった。

突然彼女は言った。

少し休む?

きくと、

そうじゃないの
なんていうか
人でいるのに疲れちゃった。

じゃあ
何になりたいの?

うん…むずかしいなぁ。

いいながら彼女は、
机に突っ伏して、
上目遣いにこちらを眺める。

何かになりたいのじゃなくて、
人でいたくないなんて、
わがままだよね?

そう言って彼女は、
突っ伏した姿勢から、
前の方にのびて、

ごろんと、
あくびをしながら、
仰向けに寝転がる、
猫になった。

私はあきれて、
溜息をついたけれど、

あくびをしたとき、
惜しげなく見せてくれた、
ピンクの口内と、
小さなとがった歯がかわいかったので、
だまって眺めていることにした。



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