〜夢の島通信録…


よのなかは すべて きれいなものでできているのです
あたしたちは いつも きれいなものたちにかこまれているのです

生まれて最初に見た物は、きっと、たくさんの、
とてもたくさんの、光だったと思う。

だって、世界は、こんなにも、輝いているから。
きっとその光に驚いて たくさん たくさん 泣いたと思う。

あたしは、ここに寝転がって、空を見るのがダイスキで、
もうずっと、ここで空を眺めて、流れる雲に、想いをはせている。
そりゃぁ、夜だって来るけれど、でも、必ず、空は
青く、蒼く、あおく輝くから。

この世界は、本当に、すてきなところで、
手を伸ばして触れるものは、みんなきれい。

金も銀も宝石も、絹や毛皮やビロードも。
そこいらに埋まっていると思う。
キラキラ光るビー玉やビーズ。
プラスチックの指輪、オーロラの折り紙。
七色に光を返す白い貝殻。
あの人によく似た笑顔の人形。
すてきな花言葉を持った小さな花。
くずれそうに透き通る蝉の抜け殻。
小さな水槽に、大事に入れていた、虫達、魚達…
だいじな、だいじな、たくさんのたからもの。

みんな、誰かの宝箱からばらまかれて、
この世界に、溢れているから。
世界は、宝物だらけで。
あたしは、ごつごつする宝の山に寝ころんで。
あおく透き通る、高い空を眺めている。

せかいは きれいなものに みちているから
あたしたちは きれいなもので みたされているから

すてきなものは、いつも、あたしの周りに溢れているから。
あたしは、ここでこうやって、空を眺めている。
ただ、空を眺めて、過ごしている。

ほら、また、たからばこがひっくりかえった。



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