クラウン





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その日、朝の白い光の中を、
白昼夢のようにふらふらと進み、
昼の黄色い光の中を、やっぱり夢現に過ごし、
夕方、空が赤くなる頃に、やっと、
私の脳は活動を始めた。

道化は、昨夜のことは夜だといい、
その前の晩を昼だと言った。

私は、夢の中で、
昼の彼と、夜の彼がいることを、
なぜかわからないけれど、知っていた。

最初に会った、戯けた彼の姿に、
昨夜の夢の、静かな彼の目が重なる。

…そんなことを考えながら、日が暮れた。


その日一日、彼の声が耳に響いては消えずに残っていた。
昼の彼と、夜の彼と、交互に。
時には、両者が重なり合って…




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