***** 湿った空気を感じながら、 その晩私は窓を開けていた。 時々、月を横目で眺めながら。 どこかで流れていたニュースを、 上の空で聞いていたけれど、 天気予報だけは、覚えていた。 今夜は、晴れ、時々曇り。 結局一日、何一つ、手につかないままで、 何気ないふうを装おうとしながらも、 私は、彼を待っていた。 ちらちらと横目で月を眺めて、 窓の外に、誰もいないことを確認すると、 その度に、まだ曇るなと、願っていた。 *****