********** 「愛して…」 なんて陳腐な言葉だろうと、 言い淀んだ私の唇に、 白くしなやかな指を当てて遮った。 消えかけた、彼… だからワタクシは、 この真っ黒な真夜中の国で、 いつまでも、いつまでも、 アナタと生きていたいのです。 真っ赤な唇が、にぃと笑う。 糸のように細い目は、 私が見えているのかどうかも、もうわからない。 けれどもワタクシは、 あの真っ白な真昼の国で、 いつまでも、いつまでも、 アナタに笑いかけてほしいのです。 真っ青な、涙型の化粧が、滲んで消える あの、細い目は、弧を描いたままで。 手を伸ばしかけて、やっぱりできなかった。 彼とは、それっきり。 あの日、あの真っ黒な国で… **********