***** ひょいっと窓枠から飛び退き、 彼は、宙に浮いた。 月を背に、すっと立つ姿は、なかなか幻想的で、 思わず見入っていると、片腕をまっすぐに上げ、 弧を描いて下ろしながら、深々と頭を下げ、 その姿勢のまま、だんだん薄くなり、 幕を下ろしたように消えていった。 本日のショウは、ここまで。 やわらかな声が、耳の奥で響いた気がして、 その日は、明るくなるまで眠れなかった。 *****