クラウン




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ひょいっと窓枠から飛び退き、
彼は、宙に浮いた。

月を背に、すっと立つ姿は、なかなか幻想的で、
思わず見入っていると、片腕をまっすぐに上げ、
弧を描いて下ろしながら、深々と頭を下げ、
その姿勢のまま、だんだん薄くなり、
幕を下ろしたように消えていった。



   本日のショウは、ここまで。



やわらかな声が、耳の奥で響いた気がして、
その日は、明るくなるまで眠れなかった。




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