***** 「お名残惜しいですが、 今宵は、ここまでと致しましょう。」 振り返った彼の顔は、 最初に会った時と同じ、 ただの、道化の顔で、 彼が何を、どう、思っているのか、 もう読み取ることはできなかった。 「そして、今宵で、 私の出番はお終いです。」 ふっと、わずかに目を細めて、 私をみて、また、月を見上げる。 風が、雲を流し、 星は、なりを潜め、 月は、半分消えかけていた。 *****