クラウン





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「お名残惜しいですが、
 今宵は、ここまでと致しましょう。」


振り返った彼の顔は、
最初に会った時と同じ、
ただの、道化の顔で、
彼が何を、どう、思っているのか、
もう読み取ることはできなかった。


「そして、今宵で、
 私の出番はお終いです。」


ふっと、わずかに目を細めて、
私をみて、また、月を見上げる。


風が、雲を流し、
星は、なりを潜め、
月は、半分消えかけていた。




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